ハゲは遺伝?生活習慣病?

「薄毛は遺伝する」とよくいわれます。「オレがハゲたのは、父親がハゲているから」と思っている人もいます。

たしかに、薄毛は遺伝的な要素を持ちます。遺伝すると考えられているのは、男性型脱毛症(AGA)です。頭頂部、または額の生え際の薄毛からハゲが進行していくタイプで、遺伝出であったり男性ホルモンによる影響が強いと考えられています。

男性型脱毛症は、母方からの遺伝によるところが大きいことが、最近の研究によりわかってきました。そのため、「父親の髪が薄いから、自分も同じように髪が薄くなるのでは」と心配することはないのです。自分がハゲやすいかどうかは、母方の祖父をみることになります。

この現象を「母方のほうの隔世遺伝」と説明する声もよく聞きます。しかし、これは正しくはないのです。女性の場合でいえば、女性ホルモンの働きによって男性に比べて薄毛になりにくくなるので、祖父の髪の毛のの状態を見る必要がでてきます。

しかし、女性にハゲは関係ないということにもなりません。最近では、薄毛や抜け毛に苦しんでいる女性の数が増えています。

さて、ハゲが遺伝によるものだとしたら、AGEや活性酸素を抑える生活をいくらがんばってもムダだということになります。

しかし、そんなことはないのです。父親がハゲていようと、母方の祖父がハゲていようと、フサフサの髪を誇る人は大勢います。反対に母方の祖父はフサフサだったのに、ご自身が薄毛に悩んでいる人もいます。

私は、薄毛は遺伝よりも生活習慣の要素のほうが大きいと考えています。遺伝というものは、可能性や体質の問題という程度に覚えておくべきだと考えられます。

つまり、母方の祖父が薄毛であったとしたら、自分も薄毛になりやすい体質だということになるので、そのぶん、体内をさびさせない生活を心がければ、薄毛の進行をくい皀められることになります。

こうした考え方を「エピジェネテイクス」(後天的遺伝子制御変化)といいます。

エピジェネテイクスの「エピ」は、ギリシヤ語で「上の、別の、あとから」という意味でエピローグやエピソードの「エピ」と回しです。エピジェネテイクスとは、「後成説」と「遺伝学」を結びつけた造語で、「本来の遺伝情報の上につく別の遺伝情報」や「あとで獲得した遺伝情報」という意味となります。

また、エピジェネテイクスによって変化した遺伝情報のことを「エピゲノム」(後天性遺伝情報)と呼びます。

つまり、生まれつき持っている遺伝情報(ゲノム、DNA塩基配列)は、後人的な生活環境や習慣によって修飾され、個体レベルの形成が変わってくるということを、エピジェネティクスは示しているのです。

遺伝子そのものは変えられないとしても、環境などに対応するようにさまざまな形に変化させる方法を、私たちの遺伝子は備えているのです。

一説によると、ハゲの遺伝的な要素はたった4分の1程度と言われています。

つまり、薄毛になる原因の4分の3は、生活環境と生活習慣が原因であるということができるのです。